医学生情報局 Pikamed

医学生の ピカさりべ です。英語の医学動画などを紹介します。

【雑学】「ワインを飲むと、心臓病になりにくい?」<動画>

 

「ワインを飲むと、心臓病になりにくい?」

今日はいつもとは趣向を変えて、雑学風の動画をご紹介します。

 

一見不健康そうな食事が、逆に体の健康につながっている?

皆さんは、「ワインを飲むと心臓病になりにくい」という説を聞いたことがありますか?

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この説は、ある研究で

「フランス人は

チーズとワインという脂肪たっぷりの食事を摂っているにもかかわらず

むしろ心臓病になりにくい」

という結果が得られたことから話題になったものです。

一見健康に悪そうな食習慣が、逆に健康をもたらしているのでは?

という一見逆説的な内容から、

”French Paradox" とも言われています。

 

「お酒は悪いものだ!」

「アルコールは健康を害するんだ!」

というイメージが大きい現在では、

「ワインを飲むと心筋梗塞になりにくい」

というのは、本当に信じがたいような話ですよね。

 

私が医学生として約2年間身につけてきた知識から考えても、

アルコールがあまり体に良くないのは確かですから、

私自身この説に対して疑念を持っていました。

 

ですが、もしこの説が本当だったら、

じゃあワイン積極的飲もうかな…?

と思う方も多いでしょう。

心筋梗塞は日本人の死因の中でもトップクラスに多い病気なので、

できればリスクを回避したいですよね。

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心筋梗塞は「日本人の死因」上位にランクイン

実際、厚労省による平成29年の調査では、

日本人の死因トップ3は以下の通りでした。

1. がん(悪性新生物) 37万3,178人(27.8%)

2. 心疾患*1 20万4,203人(15.2%)

3. 脳血管疾患 10万9,844人(8.2%)

日本人の死因、最新データで肺炎は第5位に後退 厚生労働省 | WHITE CROSS

つまり、お亡くなりになった方20人の死因を調べると、

平均して約3人が心臓関連の病気で亡くなられているということになります。

心筋梗塞以外にも心疾患はあるので、

心筋梗塞で亡くなられている方の数はやや少ないと思いますが、

日頃から注意しておきたい病気の一つであることには間違いありません。

 

では、これからその内容を動画から学んでいきましょう。

 

動画本編:フレンチパラドックス "The French Paradox"

時間は4分15秒です。


The French Paradox

 

動画作成者:CBSさん

動画の作成者は CBS さんです。

CBSアメリカを代表する放送局で、

昔から続くラジオやテレビでの放送のみならず、

近年はインターネットでもニュースを届けていらっしゃいます。

 

例えばウェブサイト。

開くとまず目に飛び込むのは、生放送中の動画です。

"Latest headlines"(最新のニュース)はもちろんのこと、

筆者が見たときには「Netflixに関する討議」などもありました。

結構面白いですし、英語の勉強にもなるので、おすすめです。 

www.cbsnews.com

 上で紹介した動画は、YouTubeから見つけてきました。

チャンネルはこちらになります。

www.youtube.com

 

 

Pikamed message:相手を疑うより、自分を疑え

"French Paradox" が紹介されて、ワインの消費量が増えた

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この動画の最初の1分間では、

1991年にアメリカで実際に放送された映像が再利用されています。

この映像が放送された当時、

番組を見た視聴者を中心に話題が沸騰し、

赤ワインの消費量がなんと約1.4倍に増加したと言います。  *2

40%も増えたと言われると、さすがにちょっと驚きですよね。

   

「3密」も似たような話

しかしみなさん、身の回りに目をやってみてください。

似たような状況、ありませんか?

(ここからは "French Paradox" が本当に正しいかどうかは置いておきます。)

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例えば、今世の中を席巻している「3密」を避ける風潮もそうです。

テレビやSNSを通じて「3密」を避ける行動の正当性が伝えられた結果、

多くの人が「3密を避ける」を実行に移しています。

この流れは "French Paradox" そっくりです。

メディアを通じてワインの効果が伝えられた結果、

多くの人が「ワインを飲む」を実行に移したわけです。

 

「3密」との違い:「ワインは体にいい」って誰が言った?

しかし、この2つのことは似ているようで、一つ決定的に違う点があります。

それは、「私たちがメディアから情報を正しく受け取れているか」です。

なお、発信された情報そのものが正しいかどうかは、ここでは考慮しません。

私たち自身が情報をどのように扱っているかの問題です。

 

"FrenchParadox" を聞いて、即赤ワインを買いに行った人たちは、

なぜ、情報を正しく受け取れていないのでしょうか。

 

それは、仮に "FrenchParadox" が正しいとしても、

"FrenchParadox" では「ワインが体にいい」とは言っていないからです。

 

もう少し詳しくお話ししましょう。

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たしかにワインは、心臓の病気になるリスクは下げてくれるかもしれません。

しかし、肝硬変になるリスクも下げてくれるのでしょうか。

脳卒中になるリスクは?

がんになるリスクだって考えないといけません。

つまり、心臓病以外にも、

アルコールがもたらす可能性のある病気はたくさんあるわけですね。

その中のたったひとつ、

心臓の病気、というカテゴリーがむしろ良くなるぞ!

という情報を見て、つい

ワインは体にいいんだ!

と思ってしまったわけです。

 

相手を疑うより自分を疑え

世の中では、よく

「情報の選択力」「正しい情報を見極める力」が必要だと言われます。

 

しかし、情報を疑うより先に、自分を疑うこと。

私はこれを強く意識しています。

 

「私、ちゃんと正しく受け取った?」と自問すれば、

メディアだけじゃない、きっと人間関係も良くなるでしょう。

 

良い友と味わうワインほど、体にいいものはありません。

 

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