医学生情報局 Pikamed

医学生の ピカさりべ です。英語の医学動画などを紹介します。

【薬理学】心不全とは?代償機構を理解しよう<解説記事>

心不全の代償機構

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日本人の死因で上位に君臨する "心疾患"。

その中でも頻度が高い病気である心不全ですが、意外と病態の理解が難しいですよね。

そこで今回は、心不全について代償機構を中心に整理します。

心不全とは:心臓の機能が落ち、血液が十分に行き届かない状態。

心不全とは、心ポンプの機能低下により十分な血液を組織に供給できない状態を指します。

この状態は早急に解消されないとまずいので、体はとりあえず応急処置 (代償) をします。

代償の仕組み:心不全になると、体が自力で応急処置を始める。

我々の体は心不全に陥っても、自分の力で応急処置を施せます。

そのアプローチは主に2つあって、

1) 交感神経系の活性化,

2) レニン—アンギオテンシン—アルドステロン系 (以下RAA系) の活性化

です。

それぞれどのように起こるかというと、

1) 交感神経系の活性化 ← 頸動脈洞の圧受容体が血圧低下を感知

2) RAA系の活性化 ← 腎血流の減少 ← 心拍出量の減少

しかし、これは応急処置にしかなりません。

代償の影響:応急処置が続くと、さらに心不全が進んで悪循環に。

心不全応急処置 (代償) が続くと、心筋にかかる負荷が増大していきます。

心筋は高い負荷に耐えられず、心臓の機能がさらに低下します。

その結果、また心不全代償が必要になる...

まさに悪循環ですね。

治療方針:色々な薬で応急処置をやめさせて、悪循環を止めよう。

そこで、心不全の治療の基本方針は、

・最優先事項:悪循環を止める心不全代償機構を遮断 ← 色々な薬 (今回は省略)

ということになります。

治療の仕組み:「"前負荷" "後負荷" を調節する」などの作戦をとる。

治療法を理解するうえで重要な用語が "前負荷" と "後負荷" です。

・"前負荷" : 拡張期の圧力(LVEDP:左室拡張末期圧)による負荷

・"後負荷" : 末梢血管抵抗による負荷

拡張期の圧力」というのは、平たく言えば「心臓が血液をドンっと送り出す直前に、どのくらいの圧力が心臓の壁にかかっているか」です。

2つ渡される血圧値のうち高い方 (130超えると...とか宣伝されてるやつです) と考えてくださっても大丈夫です。

前負荷が弱すぎる (心臓の機能が落ちている) と、心臓が拍出できる血液の量が不足し、心不全につながります。

後負荷が強すぎる (代償が効きすぎている) と、心臓が拍出できる血液の量が減少し、心不全につながります。

ホースで花壇に水やりをする状況に置き換えると、

前負荷が弱い蛇口結構開いてたのに、誰かがきつめに締めちゃったせいで水の出が悪い

後負荷が強いホースを誰かが踏んづけてて水の出が悪い

となります。

図:心不全の代償機構と、より詳しい内容を、一枚の図に。

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参考資料:「心不全の理解に重要な代償機転のしくみ」

www.kango-roo.com

こちらのサイトが非常に参考になります。

と同時に、私自身も本記事の作成時に上記サイトを活用させていただきました。

感謝の意を表させていただきます。